Column / Webマーケティング

「見にくい」「わかりにくい」が機会損失を生む
——BtoBサイトのユーザビリティ改善ポイント

2026年3月23日

この記事のポイント

  • ユーザビリティとは「目的の情報に迷わずたどり着けるか」という体験の質
  • BtoBサイトは「読まれる」より「スキャンされる」設計が必要
  • ファーストビューで3秒以内に価値を伝えられないと離脱される
  • 問い合わせフォームの使いにくさが、最後の一押しを妨げている

「なんとなく使いにくい」の正体

ホームページを見た人が「なんか使いにくいな」と感じて離脱する——その「なんとなく」には、実はちゃんとした理由があります。それを体系的に捉えたのが「ユーザビリティ(使いやすさ)」の研究です。

ユーザビリティの定義は「特定のユーザーが、特定の目標を達成するときの有効性・効率性・満足度」(ISO 9241)です。難しく聞こえますが、要は「目的の情報にストレスなくたどり着けるか」ということです。

BtoB企業のサイトでは、訪問者は「この会社は何をしているのか」「自分の課題を解決できるのか」「信頼できるのか」を短時間で判断しようとします。その判断を助けられないサイトが、せっかくの訪問者を逃し続けています。

30年経っても使える「ニールセンの10原則」

ユーザビリティ研究の第一人者ヤコブ・ニールセンが1994年に提唱した「10のヒューリスティクス(経験則)」は、30年以上経った今でも実務の評価基準として使われています。その中からBtoBサイトに特に関連の深い3つを紹介します。

① ユーザーの言葉を使う(現実世界との一致)

業界用語や社内用語をそのまま使っていませんか? 「ソリューション」「最適化」など、訪問者が普段検索に使う言葉とサイトの言葉がずれていると、「自分に関係ある話か」が伝わりません。

② 一貫性を保つ(プラットフォームの標準に従う)

「ロゴは左上、メニューは右上、問い合わせボタンは目立つ色で右上に」——これはウェブの「常識」です。独自のデザインを追求するあまり、こうした慣習から外れると、ユーザーはどこを見ればいいか迷います。

③ ミニマルなデザイン(不要な情報を削る)

「せっかくだからいろんな情報を載せよう」という発想は危険です。情報が多すぎると、最も伝えたいことが埋もれます。トップページは特に「何を伝えるか」より「何を削るか」が重要です。

BtoBサイトの特殊事情——「読者」は一人じゃない

BtoBの購買プロセスは、BtoCと大きく異なります。購買サイクルが平均4〜12ヶ月と長く、担当者・上長・経営層など複数人が異なる立場から情報を確認します。また、営業担当者に会う前に、購入検討者の70〜90%はすでにWebで情報収集を終えているというデータもあります。

だからこそBtoBサイトには、「担当者が概要を素早く把握できる」構造と、「意思決定者が信頼できると感じられる」実績・信頼情報の両方が必要です。

今すぐチェックしたい5つのポイント

① ファーストビューで「誰向けの何の会社か」が3秒でわかるか

調査によると、ユーザーはファーストビュー(スクロールしなくても見える範囲)に閲覧時間の半分以上を使い、そこで去るかどうかを判断します。「〇〇業向けの△△サービス」という形で、対象と内容を端的に示しましょう。

② 目的の情報に3クリック以内でたどり着けるか

ナビゲーションが深すぎたり、ラベルが曖昧だったりすると、ユーザーは途中で諦めます。主要なページ(サービス・実績・問い合わせ)はトップページから最短3クリックで到達できる構造が目安です。

③ スマートフォンで快適に操作できるか

インターネットアクセスの約6割はスマートフォンからです。ボタンが小さすぎて押せない、文字が小さすぎて読めない——こうした問題は、実際にスマホで自社サイトを操作してみるだけで気づけます。

④ ページの読み込みが3秒以内か

ページが3秒以上かかると、多くのユーザーは離脱します。Googleの「PageSpeed Insights」(無料ツール)でURLを入力するだけで速度を確認でき、改善のヒントも表示されます。

⑤ 問い合わせフォームの項目は必要最小限か

入力項目が多いほど、完了率は下がります。まず必要なのは「名前・メール・お問い合わせ内容」の3項目程度。「どこでお知りになりましたか」などの追加項目は、まずフォームを埋めてもらうことを優先してから考えましょう。

「信頼してもらえるサイト」に必要な4層の要素

BtoBサイトは「信頼」を積み重ねてはじめて問い合わせにつながります。信頼の構造は4層で考えると整理しやすいです。

内容 具体例
基盤 見た目の信頼性 清潔なデザイン・HTTPS・リンク切れなし
実績 実績の証明 導入事例・お客様の声(氏名・会社名入り)
権威 業界での地位 資格・認証・メディア掲載・受賞歴
第三者 外部からの評価 口コミ・パートナー企業・業界団体所属

特に日本のBtoB企業では、「同業他社での導入事例」が購買判断に大きく影響します。「うちと同じような会社が使っているなら安心」という心理です。実名・業種・具体的な成果を掲載できる事例は、積極的に活用しましょう。

ユーザビリティとSEOは表裏一体

近年、Googleの検索順位の評価基準に「ページ体験(Page Experience)」が加わり、ユーザビリティが直接SEOに影響するようになりました。具体的には、読み込み速度(LCP)・操作の反応性(INP)・ページの視覚的安定性(CLS)の3指標(Core Web Vitals)が測定されています。

さらにAI検索においても、ユーザーが使いやすいと評価するサイト(滞在時間が長い、離脱率が低いなど)が信頼性の高い情報源として評価されやすい傾向にあります。ユーザビリティの向上は、「訪問者のため」であると同時に、「検索からの集客のため」でもあるのです。

まとめ:「使いやすさ」は経営課題

ユーザビリティは、デザインやIT担当者だけの話ではありません。訪問者がストレスなく情報を探せるか、信頼できると感じるか、問い合わせしやすいか——これらはすべて、ビジネスの成果に直結する経営課題です。

まずは自分のスマートフォンで自社サイトを開いてみてください。「問い合わせしようとしたらどれだけ手間がかかるか」を体験することが、改善の第一歩です。

中小企業診断士 日野悠介

日野 悠介|中小企業診断士

IT業界での20年以上の実務経験をもとに、製造業・BtoB企業のWebマーケティング・営業改善・IT活用を支援。神戸市を拠点に、兵庫・岡山・徳島など近畿〜中四国エリアを中心に活動。

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